底冷え

岩 粗削り

過去の記事_2019/11/2

タイトル:散文

 

ある日

いよいよ他人事にはできず避難してきた。避難する直前までは自分は大丈夫だと思っていた。いつもこうなのだが、するとしないの間が無くスイッチのように切り替わる。

避難勧告が出た頃は一人で不安だったので上の階の人と一緒に避難したいと思い、チャイムを鳴らした。しかし居留守をされた。部屋に戻ると上から足音がむしろ大げさに聞こえてなんとなく嫌な気持ちになった。

 

海辺でゲーム性のあるなにかをしている

青年が殺してみてほしいと言いナイフを持った私の腕を掴む

血を見るのは嫌なので首と反対側に力を入れていたが青年の方が力が強く、ナイフで首に傷がついてしまう

そうして浅い傷が三つほどつくが血が流れるだけで致命傷ではない

ここから殺すなんて嫌だった

そう思っているうちに青年は頸動脈の辺りにナイフを突き刺して倒れた

 

海際に立つ数十メートルもある高台へ、鳥類の存続への助けを求めに登る

鳥類は時代ごとに脅かされて空の優位性さえなくなる瀬戸際だった

それを高台に登りながらトランプ大統領に話すと悲しそうにショックを受けてなんとかしようとする意思を見せた

高台の屋上に着くとまもなくその高さまで洪水が迫ってきた

もしかして今生きているのはここにいる自分たちだけなのか、と思っていた矢先に突風が吹き身体が数メートルも高く飛ばされた

眼下の海を見て、あぁ、死んだな、と死を確信して受け入れた

走馬灯が流れるところで夢は覚めた