底冷え

岩 粗削り

過去の記事_2019/10/26

タイトル:幻覚(xxx)

 

棚を漁っていたらオーロリクス1錠を見つけ、xxxの思い出が蘇ってきたのでその時の体験を今の視点から文章に残します。2年以上前なので数字の正確さは期待しないでください。

 

xxxの思い出といっても、4回やった中の一番キマったものを書く。それ以外は正直失敗だった。

本題に入る。確か粉末が18g、オーロリクス150を1.5錠使った。2年以上前なのでこれ以上の手順は覚えていない。

マズすぎる液体を飲んでやっと手順を終えたあとも期待はしていなかった。それ以前に2回ほど失敗していたから今回も失敗すると思った。

そんな心持ちでしばらくツイッターを開いたりスマホをいじっていた。40分か1時間経って、開眼幻覚が見え始める。スマホに表示される文字が丸みを帯びたかわいいフォントに変わるのだ。まあ、それくらいはそれ以前でもなっていた。

ふとすると視界がデコボコした丸いフィルターにかかっているように見え始める。世界が少し虹色っぽくも見えてきた。なぜかタイ語のような丸い文字がイメージに現れ続ける。これは忘れちゃいけないと思いメモを急いで取り始める。黒のペンがなかったので緑の蛍光ペンで、紙がなかったのでプリントの裏にせっせと書く。

その内容は視界にかかったフィルターについて、丸い文字について、世界について、など。なんだか思考があるのにまとまらない。

メモを取り始めた頃から自分の状態の客観視ができなくなってきたらしい。今思えばそれはかなり効いてきた頃だったのだが、まだシラフの内だと思っていた。視界を無数の丸が侵す。

尿意はないがトイレに行きたくなったのでスマホを持って行く。この時メガネもヘッドホンも持たなかったことを強く後悔することになる。

地獄の始まり。トイレの壁がサイケデリックな色をする。天井が見上げられないほど高くなる。トイレの奥がブラックホールになる。身体に力が入らない。トイレの個室が歪む。リビングにいた時は感じなかった幻覚の数々が襲う。

やばいことになってきた、と思えるころにはもう遅かった。身体が思い通りに動かず、きちんと座ることすらままならないのでその場に留まることしか出来なかった。

何も理解が追いつかない自分に思考のループがかかり始める。自分以外の全てが幻に見え、自分も幻かもしれなくなり、しかしその考えも幻かもしれないと終わりのない思考を強制的にループさせられた。思考の主導権が自分に無いのに思考する主体は自分である恐ろしさを感じた。やめたいのにやめられない。脳が壊れそう。

その苦しみを味わっていると突然、ずっと忘れていた幼少期の記憶が蘇る。山の公園の遊具で遊んでいる記憶。ありありと、遊具の感触さえ感じるほどの再現だった。

その時、これまでの人生は全て筋書き通りだと知った。こうなったことも全てだった。心の底から恐ろしかった。

気がつくと他人の人生を生きている。スーツを着たOLだった。また気がつくと土木作業員のおじさんになっていた。他には過去に戻り、今では姿を消してしまったある人と接触できた人にもなった。その人生をちゃんと生きて、死んだ。何度も死んだ。

死の体験から今も死んでいいのではないかと思い始める。

 

これが幻覚のピークだった。

幻覚が落ち着いてくると効き始めに襲ってきた思考のループがまた主導権を握る。

めんどくさくなったので終わり